もふもふになっちゃった私ののんびり生活

 発見した時にはそれ程遠いとは思わなかったが、思ったよりも大木だったらしく、もうすぐ辿り着く頃にはもう暗くなりかけていた。

 今のところ獣とかは見かけていないけど、夜になったら動き出すかもしれないよね。急がないと。

 心では慌てていても、まだ四つ足状態に慣れていない身体では、よちよちとしか進まない。それでも心の中でイチニイ、イチニイと掛け声を上げながら進み、なんとか大木の根元へ真っ暗になる前にたどり着いた。

 ふう。やっと着いた。でも思った通り、木の根の下にもぐれそうで良かった。あっ、でも、何か小動物とか虫とかいたらやだな……。慎重に行こう。

 大木の木の根は持ち上がり、小さな子供なら潜り込めるような空間がぽっかりと空いていた。
 とりあえずくんくんと辺りの匂いを嗅いで、住民が住んでいるかどうかを探ってみる。

 うん、匂いはしないね。これなら、居ても小さな獣か虫くらいかな。……うう、でも、虫は嫌だから、ゆっくりと入ってみよう。

 恐る恐る真っ暗な穴の中に入ると、夜目がきくのか思ったよりも見えることに気づいた。
 落ち葉が敷き詰められた地面をくまなく見渡し、他の住人の痕跡がないことを確かめると、落ち葉をガサガサ踏みしめながら中へと入る。

 うん、大きな虫はいないみたい。小さな虫は嫌だけど仕方ないよね。とりあえず今晩はここで寝よう。明日、明るくなったら確認して、居心地が良さそうだったら、十分に動けるようになるまでここに住むか検討しよう。

 小さな身体にはここまでの移動も重労働だったのか、さっきまで寝ていたのにすぐに睡魔が襲って来る。

 とりあえず奥へと進んで風に当たらない場所を見つけると、丸くなってそのまま押し寄せる睡魔に誘われるまま、また眠りに落ちたのだった。






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