もふもふになっちゃった私ののんびり生活

「セフィー、ただいま!薬草の群生地への案内、どうもありがとう!」
「おかえりなさい、ルリィ。まあ、ルリィの頼みですから。本当は、私が人の生活に干渉することはないのですが」

 精霊樹は世界に魔素を供給している、いわば世界の根底をなす存在だ。その精霊樹の精であるセフィーにとっては魔物も人も同じ生ある生き物なのだろうから、私は例外でも、肩入れする状況は本来はあまり良くないのだろう。

「……ねえ、セフィー。話したいことがあるの」
「結界のことですよね?……ルリィは家にあのヴィクトルを入れるつもりですか?」

 い、家っ!いきなり家……?いやいやっ!

「そんな家に入れるつもりなんてないからっ!!ただ、ヴィクトルさんには薬草を採るのを付き合って貰っているのに、ここから先は結界で入れません、はないかな、って思っただけで、ここまで案内するつもりはないよ!だから精霊樹と家の周囲は今のままでお願いしたいけれど、その範囲以外は殺意と害意がなければ入れるようにして欲しいってだけなの!!」

 私とヴィクトルさんだけでマギラ草の採取をして街の全ての人の薬をまかないきれる筈がないし、そこまで正義感がある訳でもない。だから、マギラ草の採取にこの森に人が来た時に、湖まで来れるようにしたいというのもある。

 まあ、ティーズブロウの街にこの森の奥地まで来れる人はそれ程いないって話だけど、その人達が採取に来たのに結界で入れなくて断念した、なんてなったら嫌だものね。

「だからセフィー。セフィーが私のことを考えてくれているっていうことは分かっているけど、お願い。結界への侵入者への緩和をして欲しいの!」

「……わかりました。では、この周囲の一定の距離以外は殺意と害意の無い者は立ち入れるように緩和しましょう。ただし!いいですか、ルリィ。この設定だと入った後に殺意や害意を持つ場合もあるんですからね」
「わかった。結界の中だからといって、気を抜かないようにする。……魔物は入って来れないんだよね?」
「そうですね。魔物は生き物に対して殺意を持ちますから」

 それなら気を付けるのは肉食でも入れるようになる動物と人だけ、かな。なら薬草を採取に来た人が入れるようになった方がいいよね。

「じゃあ、セフィー、お願いしてもいいかな?……ごめんね、我儘ばかり言って。セフィーも、神様も、私のことを考えて守ってくれる為に設置してくれた結界なのに」

 本当に、なんでここまでしてくれるんだろう?ってくらいに私に良くしてくれているから。

「ふふふ。いいんですよ。確かに、本来は緩和する時期だったのです。この一帯はルリィの許可が無ければ立ち入れませんので、いいですか!いくら番だと言っても、家に入れるつもりが無ければこの一帯への立ち入り許可は出してはダメですからね!」
「もう、セフィーったら!家に入れるつもりはないってばっ!!」

 言い合いをしながらも、私の意思を汲んでくれらセフィーに、心の中で精一杯、感謝を告げた。

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