やさしいキスをして
最初の第1印象通り、断っていれば
  こんなことになることなんて
     なかったのに…。


失敗する時なんてだいたいいつもそう。


ーーーー最後まで自分の意思を貫けない。


 マックの画面をぼーっと眺めながら、そんなことを考えているとエリの顔がすぐそばにあった。


「何、ぶつぶつ?華、なんか今日変!」
「あー驚いた。エリか。」

「どうかした?」
   と小声で聞く。

「なんで小声?」
「編集長が(にら)んでる」

「あーね…タモさんのことまだ疑ってるよ。女狐(めぎつね)

「今日、帰り一杯どう?」
エリが右手でクイっと飲みの合図。

「いいよ。じゃまた。多分7時までには片付けられると思うから。」
「りょ。」



早々に話を切り上げるも、あの女狐はジトーっとわたしを睨んだまま視線を外さない。



ーーあああーーーーーっ…もううんざり。
ーーもう無理!
ーーもう消えて!

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