やさしいキスをして
わたしが海辺に座っていると


 「どうしたの?そんな悲しい顔して」


  と後ろから声がするのだ。


その声はどこかで聞いたような
     優しそうな少し低めの
      落ち着きのある男性の声。


そしてわたしが振り返ろうとすると
     振り返りざまに
       わたしの潤いをなくした
     カサカサの唇にそっと
       彼の唇を重ねてくるのだ。



< 5 / 31 >

この作品をシェア

pagetop