【完】イミテーション・シンデレラ
「それならば、いいけれど。 少し時間があるから休んでいなさいよ。
私、ちょっと番組のプロデューサーさんへ挨拶してくるわ」
そう言って、笹田さんは楽屋から消えていく。 直ぐに再び雑誌を開く。
本日バラエティー番組の収録。某バラエティー動物番組のゲストだ。 今度発売する写真集のプロモーションも挟む。
収録まで、まだ時間がある。 手に汗を握りながら雑誌を凝視する。
『体だけでもいいから、彼の側にいたい?
それって本音?そうだとしたらあなたってすごく駄目駄目な女の子。
セフレを作って遊んでいるような男の子、本気で好きになるなんて時間の無駄よ。
この世の中には、もっと誠実な男性が沢山いるんだから!
そんな最低男の為に、あなたの貴重な時間を無駄にしないで!』
(そ、そうよね… 恋愛博士 花椿 ユイ先生の言う通りだわ…)
「みーさき!」
「きゃああああああ!!!!」
顔を両手で塞がれて、視界が突然真っ暗になる。
雑誌を投げ出して、振り返るとそこには昴の姿があった。
きょとんとした顔をして首を傾げる。