【完】イミテーション・シンデレラ
「ちょっと…昴…」
この間と違い、今日の昴はほんの少し荒々しかった。
私を抱いている間もずっと無表情で、怒っているようにも見えた。
いつもは温厚な昴が、こんな風に激情をぶつける事はないから、何かあったのかとハラハラした。
「昴…!昴ってば!はぁ…んぅッ…やめ…」
ぽたりと汗の雫が私の胸間に滴り落ちる。
珍しく遮光カーテンは開かれていて、月明かりの下昴の瞳が妖艶に揺れる。
何度止めてと言ってもその行為は止まる事はなくって、私の中を深く濡らしていく。
’呼ばれた時に尻尾を振って行っていたら、所詮セフレ止まりよ’
花椿 ユイ先生の言葉が脳裏にくっきりと蘇る。
’特別な女になりたいならば、身体は簡単に許しちゃ駄目’
分かってる。頭では理解してるけど、こうやって呼ばれてのこのことやって来る都合の良い女に成り下がってしまった。
そして昴のくれる甘い時間に、逃れられそうにない。
このまま都合の良い女でも、私の体に飽きるまで付き合ってくれるならそれでも良いと思ってしまうなんて
馬鹿だ。本当に馬鹿だ。