【完】イミテーション・シンデレラ
「ごめん…」
行為を終えた後、ベッドに座る昴が背を向けながら言った。
先程までの激しい情事に起き上がる事さえままならない。 今日の昴絶対変。何かあった。
だって昴はたとえセフレだとしても、女の子を乱暴には扱ったりしない。 何かあったに違いない。
「岬、乱暴にしちゃって、ごめん。
痛くなかった?」
痛くはない。 私はもしかしたらドMなのかもしれない。
激しく攻められる事を心地よく思ってしまうなんて。
それよりも心配だったのは、さっきまでとは違い私の体を気遣うように頬を撫でる、切ない昴の瞳だった。
ベッドに座り直して昴の目線まで高さを合わせると、弱々しく項垂れる昴の頬を両手で掴む。
「昴!仕事で何かあった?!
また事務所から何か言われたの?!それともネットの誹謗中傷?!
落ち込む事ないよ、そんなの…!昴は頑張ってるし、ちゃんと自分の実力で今の位置にいるんだからね?!
誰かに何かを言われても、気にすることない!きちんと見てくれている人はいるからね!」
真剣な顔をして言ったら、途端に昴の頬は緩みその場で大笑いをし始めた。