【完】イミテーション・シンデレラ

「あーはっはっはっ。そーじゃねぇよ。 別に誰に何も言われちゃいないし、落ち込んでもいねーって。」

「な、なによッ…私あんたが落ち込んでるかと思って。」

「心配してくれてんの?」

「そ、そういう訳じゃないけど、様子がおかしかったから…
また誰かに何かを言われたんじゃないかって…」

「岬はいっつもそうだよね。 いっつも俺を肯定する言葉ばかりかけてくれたよね。
俺、ずっとそれに救われてきた。
真央と俺はどうしても比べられる立場だから仕方がないけど、真央には真央。昴には昴の良い所があるんだからって言葉にいつも元気づけられるんだ」

ふぅっと小さなため息を吐いた昴の横顔は、ほんの少し疲れていた。
口には出さないけれど、昴の悩みは痛い程分かる。

比べられる世界で、周りは好き勝手ばかり言ってくれる。 見ているだけの人は、傷つける言葉を平気で投げかけるものだ。

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