【完】イミテーション・シンデレラ

「真央と静綺も誘う?」

遠慮してその名前を出したら、昴はムッとした表情をする。
最近昴の事がよく分からない。 どういう時に不機嫌スイッチが入るのか。
寧ろ人に不機嫌な素振りなんて見せるタイプじゃないと思っていたから。

「真央と静綺ちゃんはふたりで過ごすでしょう?」

「そう?私静綺誘ってみよっかなぁ…。
それとも、梨々花でも誘う?!」

「梨々花ちゃん?」

梨々花の名を出すと、更に昴は首を傾げてこちらを見下ろす。

すっかりと梨々花の存在を忘れてしまっていたけれど、さっきメッセージを受け取ったばかりだ。

「昴、梨々花タイプでしょう? だから」

「何それ、意味分かんないんだけど。 俺岬とクリスマス一緒に過ごそうって言ってるんだよ。
そこで何で梨々花ちゃんや真央達の話が出てくるわけ?」

静かな言い方だったけれど、明らかに不機嫌だった。

私には、昴のどこで怒りのスイッチが入るのかいまいち分からない。 けれどそのスイッチを押してしまったのは何となくわかる。

先程まで楽しく喋っていたのにどうしてそんな怖い顔するの?

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