【完】イミテーション・シンデレラ
―――――
ウェディングショーはクリスマスの前日、23日に開催される。
本日衣装合わせでスタジオに集まっている。 ついでに本番で着る衣装と共にランウェイを歩く練習もあった。
宣伝のポスターは事前に撮影されている。メインは、真央と西園寺愛歌だった。 あれほど嫌だ嫌だと繰り返していた真央だったけれど、ポスターはばっちりと作られた姫岡真央の姿があり、身を寄せ合う西園寺愛歌は幸せそうに笑っていて、本当に幸せそうなカップルに見えた。
彼女もプロであるという事だ。
「ねぇ、岬さん。 西園寺さんって本当に綺麗ですよね。」
「そうねぇ。日本人離れしてるルックスよね。」
リハーサル画面をモニターで梨々花と共に見つめる。
西園寺愛歌は、日本の芸能界のトップスターだ。 歌姫という言葉は彼女の為に用意されているに違いない。
手足は長く日本人離れしたルックスに、美しい顔。 世界の美しい顔ランキングにも入っているほど、有名な歌手だ。
彼女の美しさは、かつてアイドルをしていた母親譲り。
そして誰もを惹きつけてやまない天性のソプラノボイスの美しい声は、現在も活躍中の世代を超えたロックバンドのボーカルの父親譲りに違いない。
彼女のデビュー曲は日本でも有名な若き音楽プロデューサーである柊 結弦が作った。 トップスターへの階段を駆け上がる時も彼女の傍らには常に彼の姿があった。