【完】イミテーション・シンデレラ
「あの噂って本当でしょうか…」
「柊さんとの事?」
「ええ、業界では有名な話ですよね。 柊さんすっごく素敵な人だし」
「どうだろうね。でも歌手とプロデューサーは特別な物だって言うし
昔からそういう噂はいっぱいあるけどね。」
デビュー当時、有名な両親を持つ西園寺愛歌は14光だと揶揄された。
けれどもそんな周囲の言葉を物ともせずに、トップスターへと駆け上がるスピードは速かった。
芸能界には化け物の様な人間が多く存在する。 彼女のスター性は生まれ持ったものだと思う。 その人の持つ魅力は力だ。
「でも柊さん、今は違う歌手もプロデュースしてますよね。 私はあの子の方が好きです。 西園寺さん近寄りがたいんだもん」
「そう?私は生まれ変わったら西園寺愛歌になりたいけどね。」
「え~…岬さんは岬さんで良いじゃないですかぁ~。生まれ持ったアイドル性あるんだからあ…」
生まれ持ったアイドル性。それが自分にあったのかは疑問だが
私の横で、真っ白のドレスを着て笑う彼女の方がよっぽど天性のアイドル性があるように見える。
それは形作っている物のすべてではなく、取り巻くオーラだ。