【完】イミテーション・シンデレラ

「じゃあ、私帰るから。お疲れ」

「ちょっと、待って岬。 類くんと食事ってどういう事?」

肩と肩がぶつかって、持っていたバックの中身が散らばる。
床には、メイクポーチからはみ出したマスカラやリップがバラバラと転げ落ちる。

昴の顔を見ないまま、それを両手で集める。 しゃがみこんだ昴が、散らばった化粧品を集める手伝いをする。 ふぅっと小さなため息が聴こえて来た。

「ねぇ、類くんとご飯に行くってマジ?それともまたいつもの真央の虚言?」

楽屋で寝転んでいた真央がパッと起き上がり、「誰が虚言癖だ!」と昴へ怒鳴りつける。
キッと顔を上げて、昴を睨みつける。 どいつもこいつも…。

怒りたいのはこっちなのに、しゃがみこんだ昴はむすりと不機嫌そうな顔をしている。
 昴の手から、乱暴にマスカラを取り上げる。

「…うるさい!昴も真央も、うざい!
私が誰とご飯に行こうが、何をしようがあんたらに関係ないでしょう…?!
放っておいてよ…!
昴なんて梨々花にも西園寺さんにも良い顔して、サイテー!」

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