【完】イミテーション・シンデレラ

「うーーー……」

それは大泣きの前兆。 体中が熱くなっていって、ありとあらゆる熱が瞳に集まって行く。
嗚咽を漏らしながら、その場で声を上げて泣く私に真央は焦ったように寄り添う。

「ひっく…ひッ…うぇ…ぶぇーーーー…」

「おい、岬。どうしたっつーんだ?お前らしくもない。
昴も…何であんなに怒ってんだ?!
おい、俺何かしたか?!ごめんって、謝るから泣くなよ…」

「うぇええええええんッ」

「岬ぃーー…」

子供みたいに泣きじゃくった。
もう大人なのに、バッカみたい。

いつの間にか、昴でいっぱいになっていた。

喧嘩したかった訳じゃない。 いつも通り私のウェディングドレス姿を見て、可愛いって言ってくれたのならば、他の子をいくら褒めようが許せた気がした。

でも今日の昴は、私に優しい言葉をひとつもかけてくれなかった。
昴が優しいのを当然だと思っていた。 そこからして、驕りなのだ。

昴の優しい言葉に対して、いつも素直になれないくせに、それを当たり前だって思うなんてどこまで傲慢なんだろう。

他の子みたいに、昴の前では素直に笑っていたいだけなのに。

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