【完】イミテーション・シンデレラ
写真集の発売にともない、サイン会も入っている。私はアイドルを卒業してしまったけれど、公人として、人前に出る時はいつだって笑顔でいなきゃいけない。
私にわざわざ会いに来る人は、私の笑顔にお金を払ってくれているのだから。
卒業して初めての写真集の売り上げは順調だった。 サイン会には、沢山のファンの人達が集まってくれた。 その中には、SARARA時代のファンで良く知る顔も多い。
ひとりひとりと大切に握手をして、サインをしていく。 私にとっては数分の話でも、来てくれたファンの人達にとっては何時間も待ってくれた特別な時間だからだ。
「岬ちゃん、SARARA卒業してもずっと応援してるからね!」
「今度のウェディングショーのチケットも取ったんだ~。また会いに行くからね!」
「岬ちゃんの笑顔にいっつも癒されてますッ」
「きゃーッ岬ちゃん、顔ちっちゃい。本当に可愛い~」
私はあんまり女の子のファンが多いアイドルではなかったんだけど、数人女の子も来てくれた。
こうやって直にファンと触れ合う機会があって、直接応援の言葉を貰えるとアイドルをやっていて良かったと心から思える。