【完】イミテーション・シンデレラ
進んでこのような場には参加しないようにしていた。何がなくとも面白おかしく書かれていく世界で、アイドル時代の私は何よりもスキャンダルを恐れていた。そうやって干されていく仲間たちを何人も見て来たから。
今日は珍しく、SARARAの初代リーダーを努めた有菜に誘われたので来た。 まさかここに類くんも居るとは、想定外だったけれど。
業界人は、何かとやることが派手だ。
高級なシャンパンが何本も開けられていく。
バーというよりかは、薄暗くブラックライトが当たりクラブに近い雰囲気の場所ではあった。
有菜と一緒に居る私を発見した類くんは、嬉しそうにこちらに近寄ってきて、私の隣を占領した。
有菜はニヤニヤと笑って、何やら誤解をしているようだったが…。
「俺達の仕事って、やっぱりファンの人ありきだもんね。
俺達だけじゃあ、輝けない。どんなにスポットライトを浴びても。
やっぱり応援してくれているファンの人がいるから、輝けていると思うんだ。」
類くんは意外にも真面目だった。 真面目に、アイドル論を繰り広げていく。 そしてそれには思わず同調してしまう。
やっぱりアイドルの気持ちは、アイドルが1番分かり合えるのかもしれない。