【完】イミテーション・シンデレラ
「ど、どこまでっていうか全部嘘です!
確かに類くんとはあの日飲んでましたけど、業界人沢山居て…。
あの写真だって、周りに他の人が沢山いたのに…」
「ふ~ん…。 そうね、嘘でも本当の事のように書かれちゃう世界だもの。
アイドルも大変ねぇ~…」
そっちから訊いてきたくせに、全く興味なさげに西園寺愛歌は手鏡の中の自分の顔をチェックしていた。
「グロスはみ出しちゃったぁ~…」なんて独り言を言いながら。
真央は彼女をいけ好かない女だと言った。実際私も遠目から見ているだけならば、女王様のような振る舞いに良い感じは受けなかった。
スタッフさんたちの間でも彼女は破格の扱いだ。 日本を代表するトップシンガーで、両親も有名人。くわえて交際が噂されている音楽プロデューサーは、日本の宝と言われるほどの才能の持ち主だ。
誰もが彼女を特別扱いをしていた。 けれどこうやって並べば、ごくごく普通の女性のようにも見える。 不思議な空気感のある人だ。
「でも、そんなの笑い飛ばしちゃえばいいじゃない。 事実じゃないのならば、胸を張って人前に出ていればいいのよ」