【完】イミテーション・シンデレラ
「自分の想いを隠してる方が、苦しくて辛いわ。 どっちにしても辛い恋ならば、隠さずに堂々としていたいものね」
それはまるで自分に言い聞かせているようにも聴こえた。 西園寺愛歌はスーパースターだったけれど、それと同時にゴシップ誌にもよく取り上げられるタレントだ。
プロデューサーである柊さんとはデビュー当時から熱愛の噂もあり、写真も何枚も撮られている。
売れっ子だったからこそ、大変な想いも辛い事も沢山あるに違いない。 それに加え、最近柊さんは新人歌手のプロデュースもしている。 その無名だった新人歌手との間にも様々な噂は流れる。
それでも彼女は自分の想いに一途だ。 そしていつだって堂々としていた。
私は?
私はどうだっただろう。
アイドルだったからとか、相手は俳優だからって
そんなつまらない事ばかりに縛られて、肝心な自分の気持ちに全然正直じゃなかった。 大切な人だったからこそ、セフレじゃ嫌だった。
私は昴を特別に思っている。昴にもそう思って欲しい。 西園寺愛歌程の素直さがもしも自分の中にあったのならば、今こんな事にはなっていなかったかもしれない。
「そういえば、南条さんってあの姫岡真央と昔付き合ってたってマジ?」
「あ、マジです。」