【完】イミテーション・シンデレラ
「げぇー…男の趣味悪いんだねぇ~…。姫岡真央とか私絶対無理だわ~…。ナルシストそうだし、そのくせプライドばっかり高くって。
まあ、プロ意識は尊敬するけどね。本番はきちんとやってくれると信じれるけど。」
あからさまに西園寺愛歌は、嫌な顔をしていた。 よっぽど真央が苦手なんだろう。真央も真央で彼女がとても苦手だから、まさしく犬猿の仲って奴だろう。
「姫岡真央結婚するんでしょう、一般人の彼女と。
あの年齢ですごい決断をしたかとは思うけど、お嫁さんになる人ご愁傷様って感じ~」
「あはは、でも真央の彼女はとっても良い子ですよ。すっごく心が広いから、真央にはぴったりかも。」
「そうなんだ。私には絶対無理ね。 昴くんはすっごく人間で出来てるのに、姫岡真央はガキ過ぎて話になんない」
けらけらと笑う彼女は実に楽しそうだった。 そっか。昴とは良い感じだったもんね。
それでも柊さんとの交際を堂々と発表してる前で、まさか昴の件でやきもちを妬いていたとは口が裂けても言えまい。
ヘアメイクを終えた西園寺愛歌はメイクさんにお礼を言うと、立ち上がった。 悔しいけれど、彼女は完璧に綺麗。 芸能界の中でも随一のオーラがある。
立つと、私よりずっと背が高い。
透き通るような真っ白い肌に、手足は折れそうな程細いのに長い。
本当に同じ人間か? そう思うけれど、彼女はにこりと人懐っこい微笑みを落とす。