【完】イミテーション・シンデレラ

胸倉を掴み揺らし続けると、真っ青な顔から色はなくなって真っ白になっていく。 つか、白目をひん剥いて魂が抜けたような表情になってしまった。

坂上さんの額の汗は止まらない。 今にも彼の方が泣き出しそうになって、私を止める。

落ち着かせるように私と真央を引き離すと、ふぅっと小さく息を吐いて心を落ち着かせる素振りを見せた。

「岬ちゃん、本当に真央くんが死んじゃう。真央くん、緊張しすぎて、昨日眠れなかったみたいなんだ…。
静綺ちゃんも見に来るって張り切ってたから余計に」

「そんなの知らないわよッ。馬鹿ッ! 大体いつも偉そうに踏ん反り替えって、いい加減芸能人ならステージ慣れしなさいよッ。
そんな情けない姿ばかり見せていたら、西園寺さんだってそりゃあ呆れるに決まってる!」

もう真央のHPはゼロだ。 その場でぺたりと座り込む。 坂上さんが真央に寄り添って「大丈夫、大丈夫だからね」と慰める。

いつまで過保護にするつもりよッ。いい加減独り立ちさせなさいよ。こいつももう立派な大人なのよ。 その過保護っぷりはグリュッグエンターテイメントにも坂上さんにも呆れる。

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