【完】イミテーション・シンデレラ
「岬ちゃん、す、昴くんなら出番がオープニング…!1番初めだから、もうスタンバイしてると思うよ?!
ま、真央くーん。深呼吸、深呼吸。だいじょーぶ!真央くんが1番かっこいいし、静綺ちゃんも応援してくれてるからね?!」
付き合ってられん。 着替えたウェディングドレスの裾を掴み、ふたりは放っておいて走り出した。 今は真央のメンタル面等構っている暇はない。 一刻も早く昴に会って、いち早く誤解を解きたい。
私の熱愛報道。 それは昴にとっては何でもない事かもしれない。 気にも留めちゃいないかもしれないけれど、誤解されたままなのは嫌だ。
昴とも関係を持ちながら、類くんにまで手を出すような女だとは思われたくない。
本番前のステージ袖はスタッフの人達でごちゃごちゃしていた。 大人たちが、忙しなく動く。
煌びやかな光と共に会場内のアナウンスが鳴り響く。 それを合図に黄色い歓声がこだまする。 ああ、一体どこにいるというの?!
爆音の音楽が会場に響いて、キャー!という歓声がより一層大きくなる。 近くにあったモニターを覗き込むと、そこには既に昴と梨々花の姿があった。