【完】イミテーション・シンデレラ
少しずつ時間を重ねて
一生懸命な君を、そして君が俳優である大滝昴を好きだと言ってくれたから
少しずつ少しずつ特別な気持ちが積み重なっていった。 特別が、好きという気持ちになっていくのに時間は掛からなかった。
そんな時、岬がSARARAを卒業した。 それが数か月前の出来事だ。
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岬の卒業祝いと称して、真央と静綺ちゃんと4人で集まった。
SARARAが国民的アイドルグループへのし上がったのは、岬の功績が大きい。
それでも岬はまだ、自分と誰かを比べていて、傷ついていた。 あの日も大泣きをして、酔っぱらって泥酔していた。
本当は岬がアイドルっていう職業が大好きだって知っていたんだ。 一生懸命にアイドルしていたからこそ流せる涙がそこにはあった。
だから岬が芸能界を引退したいと口に出した時はえらく焦った。 俺にとって見れば、岬だって芸能の神様に選ばれたひとりだからだ。
そしてこともあろうことか’結婚’等と言葉を口にするのだ。
岬の本音は、見えない。 けれど泥酔しきって、俺に抱えられるようにタクシーに乗り込んだあの日。 大泣きしながらも彼女は言ったのだ。