【完】イミテーション・シンデレラ
「本当は芸能界やめたくない…」
「何が出来るか分からないけど、この世界が好きなの」
「ファンの人達に貰ったもの、まだ返しきれていないよ…」と。
不器用な彼女なりの本音だろう。
そして小さな体で俺にぎゅっと抱き着いて、「昴、好き」と言った。
涙を流しながらぎゅっと小さな体で抱き着く岬を可愛いと思った。
「じゃあそろそろ付き合おうっか。」
「うん。昴と付き合う~。
私、昴と結婚したいなあ~。 いつかお嫁さんになりたいって言ったのは嘘じゃないの~…
でも誰でもいいわけじゃないの。昴のお嫁さんになりたい~」
いつもは素直じゃない岬が、その日とても素直にふにゃっとした気の抜けた笑顔を俺へ見せた。
そのギャップは、たまらなく可愛い。
「いいね。それ。俺も岬がいいな」
そのままマンションに来て、男女の仲になってしまったわけなんだけど。
好きだと思った気持ちは嘘じゃなかったから、こんな始まりもありなのかなって思った。