【完】イミテーション・シンデレラ
ぎゅっと握りしめた手は温かかった。 それ以上に無邪気な梨々花が顔をくしゃくしゃにして笑ってくれるから。
私、あんたが嫌いだった。
羨ましくって、妬ましかった。
私に持っていない物を、沢山持っていたから。 素直に自己表現が出来て、愛される才能を持っている彼女が羨ましかった。
「だから私にとって岬さんは恩人で、ずっと憧れの人なんです。
ずっと背中を追い続けて来た人だから…」
「梨々花…私は何もしてないよ。 SARARAは梨々花がこれから引っ張って行って、私が居た頃よりずっと大きなグループになる」
そう言ったら、梨々花は照れくさそうにはにかんで笑った。
「大体よく考えたら私まだまだ現役アイドルで頑張るつもりだし
恋人はファンの皆さんって事にしておきます。
岬さん、大滝さんと幸せになって下さい。
ちょっと悔しいけど、ふたりお似合いすぎるんだもん。 でも…アイドルとして頑張りたいから、ずっと見ていた背中に追い付きたいから
私芸能活動では岬さんに絶対負けませんッ」