【完】イミテーション・シンデレラ

昴は全身黒ずくめ。それにサングラスにマスク。 金髪のかつらまで着けちゃってる。
…超怪しい。

だけど昴は金髪も似合うわ。ついつい見とれてしまった。 これで衣類が真っ白だったら王子様そのものなのに…。

鼻歌を歌いながら上機嫌でハンドルを握る昴は、信号で止まった時後部座席に置いてあった紙袋を私へ渡す。

「…何コレ?」

「いいから開けて見なよ!」

無邪気な笑顔を見せながら言うもんだから、渋々と中身を開けるとそこにはショートボブのかつらが入っていた。 サングラスとマスクもセットで。

まさかこれを私に着けろと?

「何でこんな変装みたいな事を……」

「だってお出かけじゃん。いくら何でも国民的アイドルと人気俳優がクリスマスにふたりで居たら周りが驚いちゃう。
そうしたらデートどころじゃなくなっちゃうし」

「へ?!どこに行くの?!」

「横浜!!!」

「よ、横浜ぁ?!」

「行くよッ。みなとみらい! イルミネーションなんてデートの定番じゃん。
その後に行くレストランも予約してる。残念ながら個室だけどさ」

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