【完】イミテーション・シンデレラ

クリスマスの横浜のイルミネーションなんて…カップルだらけじゃないか。

だから、変装って訳か。 まさか昴がここまでデートプランを真剣に考えてくれているとは思わなかった。

「俺は別にバレてもいいけどさー。誰かさんがうるさいじゃん。ただでさえ、類くんとの熱愛報道が出たばかりなのに!ってピーピー騒ぐし。」

「ピーピー騒いで悪かったわね。」

「でも俺は普通のデートがしたいんだ。
家でゆっくりパーティーってのもありだけど、付き合って初めてのクリスマスだし特別な物にしたい。
岬が嬉しいって気持ちになるデートにしたい!!
だいじょうぶ、バレたらその時はその時だ!俺、交際の事実は認める覚悟あるし」

「昴ったら…」

きゅっと胸が優しい気持ちになる。 普通のカップルのデートなんて始めから諦めていた。 けれど昴はそんな私の気持ちを先回りして、いつだって嬉しい気持ちにさせてくれるんだから。

私にだって、覚悟のひとつやふたつはあるわ。

もう怯えたりなんかしない。 堂々と胸を張って歩いていく。誰に何と言われようと、この恋を譲れないんだもの。

だいじょうぶ。 横で昴が笑っていてくれる限り、周りのどんな言葉でも受け入れられる。

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