【完】イミテーション・シンデレラ
予想通り、クリスマスの横浜は混んでいた。
さくら通り。 ブルーやシャンパンゴールド、ホワイトのLEDライトに照らされたイルミネーションが光の道を作る。
レインボーに光る大きな観覧車。巨大なツリー型のイルミネーションの上に大きなリボンが着いている。
躊躇いもせずに堂々と手を繋いで歩く。 サングラスとマスク姿で完全防備はしているのだが、ただただクリスマスの彩られた街をふたりで手を繋ぎ歩けることが嬉しかった。
特別な事なんかしていない。 何気ない会話をしながら、景色を見て歩く。 それだけでこんなに楽しい。
寒いって言って鼻を赤くさせる昴。 コートのポケットに私の手を入れて、同じ歩幅でゆっくりと歩いてくれる。
「昴、屋台?みたいなの沢山あるね」
「すっげぇ人だな。変装は大正解だ。
何か食べたい物、飲みたい物ある?」
「ん~…ご飯はレストランで食べるからお腹空かせていたいからー
あれーココア飲むッ。ココアー。ホイップたっぷりの奴ねッ」
「はいはい。ホイップたっぷりのココアね」
屋台に並び、ココアを持ってきてくれる昴。…まるでカップルみたい。
いやいやいや、カップルなんだけどさ。