【完】イミテーション・シンデレラ
「美味しいッ」
「そう、良かった。」
「美味しいし、楽しいね!昴見て~!船がキラキラで綺麗ッ。
横浜って綺麗な街なんだねぇ。久々に来たけど、めっちゃロマンチック~!のりた~い!」
昴の腕を引っ張って、行ったり来たり。クリスマスのせいなのか、それとも昴と一緒に居るからなのか、テンションが上がりっぱなしで止まらない。目に映る物全てが新鮮で綺麗に見える。
そんな私に呆れずに昴も今日はずっと笑ってくれている。
巨大なクリスマスツリーの下でうっとりとしていたら、横に居た昴がくすっと笑う。
今でも夢なんじゃないかって思う。 私…昴の彼女になったんだなーって。隣に居るのに、どこか足元がふわふわして実感がわかない。
彼氏が出来たのは、アイドルになってからで恋人らしい事余り出来なかったかも。 昴と付き合うようになっても、こういう普通のカップルが過ごすクリスマスは望めないと思っていた。
だって、私も昴も目立つ。
そんな私の考えを先回りしたように、昴は私のしたかった事を何も言わずに叶えてくれるんだ。
「昴、ありがとう…」
「何が?」
「いつもありがとう。 アイドルになった時から普通のデートなんか望んじゃいけないってどこかで思ってた。
だからこんな素敵なクリスマスをありがとう」