【完】イミテーション・シンデレラ
素直な気持ちが溢れていく。 知らぬうちに笑顔になっていた。
けれど見上げた昴はもっと嬉しそうに笑っていて、サングラスとマスク越しその瞳の奥は見えなかったけれど、きっと優しい顔をしているのだろう。
「俺も、岬と一緒にクリスマスが過ごせて嬉しい」
「ほんとー…?私はしゃぎすぎちゃって…昴気遣ってない?」
「あはは、今更岬に気を遣うとか」
そりゃーそうですよね。 友達期間の方がずっと長かったんだから。
ふたりで飲みに行ったりはしてたんだから、今更だよね。…でもそれってちょっと…昴私の事本当に女として見てんのかな?
「ん?」
「何でもないよぉーだ。 それにしても景色マジで綺麗ー海も綺麗ー空気も良い気がする~。
横浜ってすっごく綺麗なんだね。 昴と一緒に来れて、想い出が出来て幸せ!」
さっきまで笑っていた筈なのに、きょとんとした顔をした。 …私何か変な事言った?
直ぐに笑顔を取り繕って、昴はゆっくりと私の頭を撫でた。
「何か新鮮。 素直な岬」