【完】イミテーション・シンデレラ

「メリークリスマス、岬」

窓に写された自分の首元を見て、やっと気が付いた。 海の上で大輪の花を咲かせる花火よりもキラキラと輝いている。

首元に掛けられたのは、ハート型のピンクの石がついたネックレスだった。

「こ、これ…!」

「クリスマスプレゼント」

振り返ったら、昴は照れくさそうに顔をくしゃくしゃにさせた。
その顔を見て、思わず涙がこみ上げてきた。

「プレゼントって…横浜のイルミネーションも見たし、こんなに美味しいご飯もご馳走して貰って
こんなサプライズ花火まで見せてくれたのに…
その上…こんな素敵なプレゼントなんて…ぷぎゃーーーー…嬉し…ひっく…うぅ…ひっく。ほんと…うれし…
ありがとう~~~…すばる~~…」

「おいおい、泣くなって。 大したもんじゃないよ。
宝石屋のおねーさんが女の子に人気があるんですよぉーって言ってた。
ピンクのハートなんて岬に似合い過ぎだなぁって。着けて欲しいから買っただけなんだ。」

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