【完】イミテーション・シンデレラ
仕事忙しかったでしょう? それなのに私の為にクリスマスプレゼントまで選びにいってくれたの?
そんなの嬉しすぎる。泣かないわけない。
ぎゅっと昴に抱き着くと、安心する匂いがする。この温かい胸の中、ずっと甘やかされていたい。
…そう思った時にハッと気づき、顔を上げた。
ニコニコと笑う昴とは対称的に、私の顔はサーっと青くなり血の気が引いていく。
「ごめん!昴!私クリスマスプレゼント用意してない!」
「あはは~、いいよそんなの」
「ごめん~…私って最悪~…付き合い始めて初めてのクリスマスなのに…」
何て思いやりのない女だ。
でも言い訳をさせて欲しい。
昨日の今日昴の彼女だと知ったのだ。 昨日まで昴とクリスマスを一緒に過ごせるとは思っていなかったし、期待もしてなかった。
クリスマスデートで完璧に浮かれ切っていたのもあるが、未だに昴の彼女という実感もないのだ。
両手を合わせて何度も謝る私に「いいよ~」と言いながら優しい笑みを向ける。