【完】イミテーション・シンデレラ

「何だよ…」

今日も機嫌は悪そう。…まあ、これがいつも通りっちゃーいつも通りなんだが。

寮の食堂のソファーにだらしなく座って、雑誌を開きながら不機嫌な視線を投げかける真央に、ハワイのお土産をぶん投げた。

「ハワイのお土産」

「何だよ、これ。もっといいもん買って来いよ」

受け取ったクッキーを見て真央は更に顔をしかめた。 相変わらず余計な事しか言わない口だ。縫ってしまいたい。

「ハワイで1番人気のクッキーカンパニーのクッキーよ。」

「いらねぇよ」

「真央はいらなくても静綺は食べたいって言ってたもの。喜ぶでしょう?」

「お…おお…静綺が喜ぶのか。
それはサンキュー」

だからこいつって…。全ては静綺中心で回っているような真央は嫌いではない。

手に持ったクッキーの包みを見つめ、ウキウキとし始めた。こんなに愛される静綺を羨ましくはあるけどね。

「それより静綺はまだ?!早く会いたいんだけど!
可愛いブレスレットもあったからそれもお土産に買って来たのよ。 直接渡したいんだから」

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