【完】イミテーション・シンデレラ
本当に口を縫ってしまいたい。悪口しか言えないのは生業なのだろうか。
からかうように意地悪な言葉を並べる真央は何だか嬉しそう。
口元を上げてフフンと笑うと、満足気に視線を再び持っていた雑誌へ向けた。
「無神経男!」
そう怒鳴ると、真央は猫のように吊り上がった目を丸くして、手から持っていた雑誌を床に落としてしまった。
訝し気な顔をして、下から舐めるようにこちらの表情を伺う。
さっきまで意地悪な笑みを浮かべていたというのに、急に焦った表情になりじとりとこちらを見上げる。
「お前…まさか…」
「な、何よッ! 私は別に昴の事なんてッ。
何勘違いしてんのよッ。ばっかじゃないの?!
昴なんて…昴なんて」
こちらをジッと見つめていた真央の視線が後ろへずれていくのが分かった。 その表情が段々と険しくなっていく。
「だから言いたい事があるなら口に出していいなさいよッ。 昴の事なんて私は…」
「俺がどうしたの?」
「ひッ!」