【完】イミテーション・シンデレラ
後ろから低く鳴り響く聞き覚えのある声。 ぽんっと頭を触られて、振り向くとそこには昴と静綺の姿。
ソファーから立ち上がった真央は、即座に静綺の手を取り「何で昴と一緒なんだよ?!」と大きな声を上げて怒鳴る。
既に真央の頭の中は静綺でいっぱいになっており、さっきまでの私との会話は頭から抜け落ちていた。
私は私で余りの驚きでその場で腰を抜かし、床にぺたんと尻もちをつく。
目の前では相変わらずの光景。 怒る真央に、余裕で笑う昴。
「一緒って…。入り口で会っただけだけど…。痛い!腕を掴まないでよッ。」
「入り口で会っただけって本当かよ?! 昴お前まさか静綺を待ち伏せしてたんじゃねぇのか?」
どーゆー言いがかりだ。 真央の嫉妬深さには呆れる。
でも…真央には悪いけれど隣に並んでいた昴と静綺、ちょっとお似合いだった。
身長差がぴったりというか、雰囲気がお似合いというか…。 どうして?!私昴の事ばかり考えちゃってるの?!
ぎゃーぎゃー煩い真央を無視して昴はソファーに座ると、先程真央にあげたハワイのお土産のクッキーを手にした。
「クッキーカンパニーのクッキーじゃん。これ美味しいよね、俺大好き。」