【完】イミテーション・シンデレラ

そうだったの?!
昴には買ってきてないんだけど。

ソファーの後ろから真央がそれを昴の手から奪い取り、これは俺のだ。と言う。

こんな事なら、昴にあげれば良かった。 一応静綺も喜ぶかと思って、真央に買ってきた体にしたが静綺には個人的にお土産も買ってきているし。

「そういえば、岬撮影でハワイに行ってたんだっけ?」

ちらりと昴がこちらを見やる。
心臓がおかしい位ドキドキして、思わず目を逸らす。

ドキドキしたかと思えばきゅんきゅんし始めて、胸が苦しい…。
昴の視線を感じると、頬が熱くなっていく。

一体この症状は何…? 私の体おかしくなっちゃったの?!
今まで昴の事意識した事なんかなかったのに…。

「おー、昴にもお土産あるら…」
思わず真央の口を両手で塞ぐ。
んーんーと嘆きながら、両手をジタバタする真央の頭をぶん殴る。

「言っておくけど、昴はお土産ないから!!!」

顔を真っ赤にさせて怒鳴る様に言うと、昴はしょんぼりと肩を落とした。振りをする。

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