【完】イミテーション・シンデレラ

その様子を見下ろしながら、昴がくすくすと小さく笑う。「今日はやけに仲が良いじゃん」と。
誤解誤解。全部誤解!

静綺にブレスレットとクッキーもお土産だと説明すると、大袈裟な位驚いてくれた。そして嬉しい!と声を上げる。 やっぱり反応が良い。静綺…好き。…でも

さっそくクッキーを開けた静綺が、昴へとお裾分けする。昴は嬉しそうに静綺とクッキーを食べながら、ふたりで仲良さげに何やら話している。

そんな事そっちのけで真央に蚊退治を手伝わされる。そんなの居る訳ないのに。


真央の後ろ姿がやけにムカついて、丸めた雑誌で再び殴る。

「痛ッ。奴はいたか?!」

本当にこいつ…馬鹿。 容姿だけはいっちょまえに良いのに、中身は天然。

そんな真央の事ずっと好きだったはずなのに、今は目を追うのは静綺と仲良さげに話す昴ばかり。

それを見る度に今度は胸がズキズキと痛んだ。
ドキドキしたりきゅんきゅんしたり、ズキズキしたり。

心がとっても忙しい。 こんなのとてもじゃないけれど、耐えられないよ…。

< 57 / 265 >

この作品をシェア

pagetop