【完】イミテーション・シンデレラ
「ありがとう、梨々花ちゃん」
「私、本当に岬さんに憧れていたからッひっく。
明日から岬さんが居ないなんて、ぐすッ。
そんなのありえないですよぉーー…
悲しいよう…寂しいよう…。」
「泣かないで、梨々花ちゃん。 可愛い顔が台無しだよ?」
(チッ…絶対悲しくもねーし寂しくもねーだろ)
「卒業しても、ずっとずっと私の憧れは岬さんです…!」
梨々花の甘ったるい声は、デパートで売られている可愛らしく装飾された砂糖菓子の様だ。
ハッキリ言って、とても耳障り。 アイドルにしては、165センチとちょっぴり背は高めでスタイルは良い。
ボブスタイルの黒髪で、目が大きくて、泣く時も笑う時も顔をくしゃくしゃにさせて表情は豊かだ。
そこも、すっごく目障り。 歌も下手糞で、ダンスもファンから省エネダンスと呼ばれるほど手抜き。特に取り柄もない。 正直大嫌いだ。