【完】イミテーション・シンデレラ
「ありがとう、梨々花ちゃん。 SARARAはこれから梨々花ちゃんの時代だよ。頑張ってね。
きっと梨々花ちゃんならもっともっとSARARAを引っ張っていけるエースになれるよ!」
「そんなぁー…私なんて、岬さんみたいに歌も上手じゃないし、ダンスも下手くそだし
エースなんて絶対無理です…。
だって、だって…」
(イラッ よくもまあ、心にも思ってねー事が口からつらつらと出てくるものだわ。 …人の事は言えないが。)
桜川 梨々花。 18歳。
正直出会ったばかりの頃は、アイドル向きだとは思わなかった。 特に目立った所もなく、どちらかといえば芋臭い女だと思った。
アイドルの研究生時代から引っ込み思案な方で、どちらかといえば自分から前に出るタイプではなかった。
顔もスタイルも普通。 寧ろアイドルにしては身長がありすぎな位。 それでも何故か運営はこの子を推した。
まるで私の後釜にするように、梨々花をSARARAの新しい顔にさせたかったのは見え見えだった。
「でも、私絶対に頑張ります! 岬さんの守って来たSARARAを絶対に絶対にもっともっと人気にさせます!」
握られた両手はぎゅっと強くなる。 その圧に思わず押しつぶされそうで苦笑してしまう。