【完】イミテーション・シンデレラ
今現在日本には様々なアイドルがいるが、私はアイドルには大きく分けて2種類の人間がいると思ってる。
それは私が芸能活動を始めた10代の前半から感じてきた事。
簡単に言えば、努力型と天才型。 絶対に人に頑張りや努力を見せたりはしないけれど、私は絶対に前者にあたると思う。
もしも私と同じだけの努力家ならば、南条岬はいくらでも量産出来る。
ダンスも歌も元々得意な方ではなかった。 人の前に出るのも苦手。 身長は余り伸びなかったから、大所帯のグループのセンターにしては見栄えも悪かった。
顔は昔から可愛い方だったけれど、常人をはるかに超える人間が沢山いる芸能界。 その中に紛れてしまえば、私はちょっぴり可愛い程度のアイドルだった。
バラエティーでも歌番組でもSARARAの看板を背負い無理をしてきた。 たったひとりきりのグループのお姫様で居る為に頑張って来た。
これだけは心から言える。 私はメンバーの誰よりも血のにじむ努力をしてきた。 その上でのグループのセンターだった。
「頑張ってね、梨々花ちゃん。」
「はい…!頑張ります!岬さん、今度絶対にご飯に連れて行って下さいね!」