子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
僕の彼女になって
「結衣、悠太行ってらっしゃい。 気をつけてね?」
玄関で、可愛い妹と弟を見送る。
お母さんとお父さんは共働きで、朝が早い2人はわたしたちよりも先に家を出てしまう。
だから、結衣と悠太を見送るのはわたし、綾瀬 初花の仕事。
この春、小学3年生になったお姉さんの結衣。
そんな結衣の服の裾をギュッと掴んで不安そうにしているのは、まだ全然馴染まない体より大きいランドセルを背負った、小学1年生の悠太。
「悠太、ちゃんと結衣お姉ちゃんの言うこと守るんだよ?」
膝をついて目線を合わせて、優しく伝える。
悠太は寂しがり屋の甘えん坊。
おまけに人見知りで、新しいことは苦手。
慣れれば元気で明るい素直ないい子なんだけど……
新しいところへ送り出すのは、姉としてはやっぱり心配で母親のような気持ちになる。
「結衣、悠太のことお願いね」
「もっちろん! 結衣に任せて!」
結衣は悠太の真逆の性格で、とても頼もしい。
そのせいでちょっと空回りしてしまうこともあるのだけれど。
そんな2人の背中を見送ってドアを閉めた。
< 1 / 269 >