子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「それにしても……可愛すぎますよ、綾瀬先輩!!」
突然、あまりにも大きな声を出すから、咄嗟に周りを見渡す。
良かった……誰もわたしたちのことを気にしてないみたい。
幸いにも駅前は人がたくさんいて騒がしくて、天馬くんの声は他の人に届いていないようだった。
「変、じゃないかな?」
「変じゃないです! 綾瀬先輩は何を着ても可愛いと思うけど、初めて見る綾瀬先輩の私服姿が可愛すぎて、さらに好きになりましたっ」
「……っ」
天馬くん、そんな恥ずかしいことをこんな人前で堂々と。
よく言えるなと、逆に感心してしまうほどだ。
「じゃあ行こう、綾瀬先輩っ!」
そうかと思えば、わたしの手を突然引いて走り出しそうな勢いで歩き出す天馬くん。
「えっ、ちょっと待って!? どこに行くの、天馬くん!」