子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「天馬くん、過去資料取りに行こう」
天馬くんの手を引いて、隣の資料室へと向かう。
わたしから手を引いて歩き出すなんて初めてだから、びっくりしている天馬くん。
藤ヶ谷くんのいる空間にいづらくて、天馬くんと2人きりで話がしたくて、資料室まで逃げてきた。
「ちょっと天馬くん、変なことは言わないでっ!」
外には聞こえないよう、小さな声で。
でも、力強く抗議する。
「やっぱり綾瀬会長は、副会長のことがすきなんですか?」
天馬くんは、悲しそうに眉を下げてわたしを見る。
まるで子犬を見ているかのよう。
「ううん、そんなことは……」
「綾瀬会長、ずっと副会長の顔色伺ってるから」
気にしている自覚はあったけれど、他人に伝わってしまうほど顔に出ていたなんて。