子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
ライバルには敵わない ─side:滝 穂乃実─
今日は体育祭準備の日。
高校生になってから、初めての体育祭。
わたしは、生徒会委員として学校行事に参加している。
生徒会に入ろうと思ったのは、入学式のこと。
ステージの上で堂々と挨拶をする綾瀬会長の姿を見て、うっすらと考えていた気持ちが固まった。
先輩たちはみんないい人で、生徒会に入って本当に良かったと思っている。
「滝ー、そっちもう少し持ち上げられる?」
「あっ、はい!」
危ない、危ない……ぼーっとしてた。
島元先輩に声をかけられて、ハッとする。
今は、島元先輩と一緒に体育祭の看板を校門前に立てている。
島元先輩がパイプ出できた土台に固定している間、わたしの視線はグラウンドの奥の本部席に目がいった。
そこにいるのは、憧れの綾瀬会長と同級生の天馬くん。
そこそこ視力がいい方で、2人の姿がはっきり見えた。