子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
ドキドキが止まらない
6時間目。
授業終了を知らせる鐘が鳴る。
それと同時に、ガッツポーズで声を上げる男子たち。
ついに明日から、待ちに待った夏休み。
「おいおい、遊ぶのもいいが受験生の自覚をしっかり持てよ!」
一応進学校であるこの高校では、ほとんどの生徒がセンター試験を受ける。
わたしたち3年生は、受験勉強と向き合わなければいけない時期だ。
そのため、先生たちは宿題を減らしてくれたわけだけど、その重要さに気がついていない一部の生徒に、担任の先生が喝を入れていた。
「初花ーっ、寂しくなるねぇ」
「そんな大袈裟なっ。まだ卒業じゃないんだし、休み中も遊ぼうよ」
「もうあと数ヶ月で卒業なんて……信じられない」
随分と先のことを考えて、ガクリと肩を落とす仁奈ちゃん。
「仁奈ちゃんってば、気が早すぎるよ」
確かにわたしも仁奈ちゃんと離れ離れになるのかと思うと寂しいけれど、まだまだ卒業までには時間がある。
「でも夏休み中も生徒会忙しいんじゃない?」
夏休み中も会えるのかと心配しているようだけど、そこのところは問題ない。
「うん、前半はお休みで後半から活動始めるから大丈夫だよ?」
そう答えると、仁奈ちゃんは嬉しそうに笑った。