子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「あのさ、」
生徒会室のドアが見えてきた頃、藤ヶ谷くんが口を開く。
「なに?」と答えようと思った矢先、大きな声でわたしの名前を呼ぶ声がした。
「綾瀬会長ーっ!!」
満面の笑みで駆け寄ってくる天馬くん。
「て、天馬くん! 廊下は走っちゃダメっ!!」
「あぁ、ごめんなさいっ」
全く反省の色は見えないけれど、テヘッと舌を出す天馬くんに呆れながらも許してしまう。
「あっ、ごめん藤ヶ谷くん。話の続き、なんだっけ?」
「んーん、別にそんな大したことじゃないから、また後で」
「そっか」
それならいいんだけど。
話の途中で天馬くんが現れて、不機嫌になった気がしたんだけど……気のせいかな?
ここまで一緒に来たはずの藤ヶ谷くんは、先に生徒会室に入ってしまって、「行きましょー」とわたしの背中を押す天馬くんと一緒に生徒会室へと入った。