子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「あ、先生来た。 もーいいところだったのに……また後でね!」
廊下に先生の姿を確認した仁奈ちゃんは、借りていた席の男子にお礼を言ってから、自分の席へと戻っていった。
「昨日のこと?」
「うん、天馬くんのこと」
たまたま教室で隣の席になった藤ヶ谷くんに、仁奈ちゃんと入れ替わりで声をかけられた。
わたしたちが話している間、ずっと席に座っていたから、全部話が聞こえていたのだろう。
昨日生徒会室で起きた出来事はあまりにも衝撃的なものだったから……
藤ヶ谷くんも気になってしまうのは納得がいく。
「本当にアイツ生徒会に入れんの?」
「あと半年くらいで去ることになる先輩としては後輩が欲しいところだし、本人のやる気があるならいいと思う」
「まぁ、それはわかるけど……アイツやる気あんの?」
「それはまだわからないけれど」
天馬くんが何を思って言ったのかわからないから。
藤ヶ谷くんは、まだどこか納得していない様子だった。