子犬系男子の甘い溺愛が止まらない



「もう遅かった?」



表情は変えなくとも、どこか悲しげな声の藤ヶ谷くんに、わたしは首を横に振る。


遅いわけじゃない。



「もう相手がいるの?」



また横に振る。



「ううん、まだ」



まだペアにはなってない。



「……もしかして、天馬?」


「……っ」



なんでみんな鋭いんだろう。


こんなにわたしってわかりやすいんだろうか。



「アイツに誘われた?」



違う、違うの。


そうじゃないの。



「わたしがっ」



言わなきゃ、ちゃんと藤ヶ谷くんに。


わたしが緊張しているように、きっと藤ヶ谷くんも勇気を出してわたしに気持ちを伝えてくれた。


だから、ちゃんと答えなきゃいけない。






< 214 / 269 >

この作品をシェア

pagetop