子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
まだ湯気が立つくらい熱々のたこ焼き。
一緒にもらった竹串を刺して、口へと運ぶ。
「はっ、はふいっ!」
「もう、食いしん坊ですね、綾瀬会長」
お腹がすきすぎて、早く食べたくて。
ちゃんと割って中を冷ましてから口に入れたらよかった。
後悔してももう遅く、ハフハフしながら何とか食べきった。
「綾瀬会長、口にソースついてますよ?」
「へっ?」
口にソースなんて、恥ずかしい。
しかも天馬くんに見られちゃって。
早く取ろうと口を指で拭うけれど、取れていない。
「こっち側ですよ?……ん、美味しっ」
「……なっ!」
わたしが触った反対側を親指で拭って、そのままペロリと舐めた天馬くん。
「どうかしました?」
「う、ううんっ」
……と、否定はしたものの。
こんなの、どうかしちゃうよ。
天馬くんに指でなぞられた口元が熱い。
熱々のたこ焼きのせいで麻痺しちゃったのかな。
そうじゃない。
天馬くんの一つ一つの行動のせい。
そう告げるように────
自分の口をペロリと舐める天馬くんにドキドキが止まらなかった。