子犬系男子の甘い溺愛が止まらない



まだ湯気が立つくらい熱々のたこ焼き。


一緒にもらった竹串を刺して、口へと運ぶ。



「はっ、はふいっ!」


「もう、食いしん坊ですね、綾瀬会長」



お腹がすきすぎて、早く食べたくて。


ちゃんと割って中を冷ましてから口に入れたらよかった。


後悔してももう遅く、ハフハフしながら何とか食べきった。



「綾瀬会長、口にソースついてますよ?」


「へっ?」



口にソースなんて、恥ずかしい。


しかも天馬くんに見られちゃって。


早く取ろうと口を指で拭うけれど、取れていない。



「こっち側ですよ?……ん、美味しっ」


「……なっ!」



わたしが触った反対側を親指で拭って、そのままペロリと舐めた天馬くん。



「どうかしました?」


「う、ううんっ」



……と、否定はしたものの。


こんなの、どうかしちゃうよ。


天馬くんに指でなぞられた口元が熱い。


熱々のたこ焼きのせいで麻痺しちゃったのかな。


そうじゃない。

天馬くんの一つ一つの行動のせい。


そう告げるように────


自分の口をペロリと舐める天馬くんにドキドキが止まらなかった。





< 234 / 269 >

この作品をシェア

pagetop