子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
時計を確認して、朝と同じく長針が12を指したと同時にマイクのスイッチをオンにする。
「みなさん、学校祭は楽しんでいますか? 寂しいですが模擬店はこれで終了となります。
生徒の皆さんは後片付けを始めてください。一般の方は気をつけてお帰りください。お越しいただき、本当にありがとうございました!」
無事に放送を終えて、ふぅと息を吐く。
今日のわたしの仕事はおしまい。
後夜祭の司会進行は藤ヶ谷くんがやってくれるから。
あとは……天馬くん。
「お疲れ様です、綾瀬会長」
「ありがとう、天馬くん」
わたしは、天馬くんに伝えなければいけないことがある。
「じゃあ、片付けもあるし戻りましょっか」
「ま、待って!……天馬くんに話があるの」
放送室を出ようとする天馬くんの腕を掴んで引き止める。
伝えるなら、もう今しかない。
「綾瀬会長?」
天馬くんは不思議そうな顔をしたけれど、「なんですか?」と優しく微笑んだ。