子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
甘い溺愛は止まらない
あれから数週間。
高校生活の中で最後の楽しい行事である学校祭が終わり、定期テストが終わり……あとは受験勉強に打ち込むのみとなった秋。
「いやぁ……あれは本当にドキドキしたよっ」
「もうっ、それはやめて……」
きゃーっと顔に手を当てながら、ニヤニヤと笑う仁奈ちゃん。
『あのね天馬くん、今日……わたしと一緒に踊ってくれないかな?』
『嬉しすぎて……どうにかなりそう』
『先輩、本当に僕でいいんですか?』
『……うん、天馬くんに踊ってほしい』
「──って、はあああああっ!」
似ていない真似をしながら、わたしをからかってくる。
なんでわたしと天馬くんしか知らないはずのやり取りを仁奈ちゃんが知ってるかって……
それはあの日。
わたしがやらかしてしまっていたから。