子犬系男子の甘い溺愛が止まらない
「まさかね、マイクのスイッチを切り忘れるとは」
「うぅっ……」
そうなんだ。
アナウンスをした後、マイクのスイッチはオフにしたはずだった。
はずだったけれど、完全にオフになっていなかったらしく、音量は小さかったものの校内中に聞こえてしまっていたらしい。
しっかりと確認していなかったわたしのせい。
天馬くんと別れたあと、クラスに戻るとザワザワとしていて、わたしの姿を見るなりピタリと声が止まった。
変な視線を浴びながら、何事かと仁奈ちゃんに聞くと、この件が発覚したんだ。
「珍しいよね、綾瀬があんなミスするなんて」
「藤ヶ谷くん……」
周りの子たちから話が出ることはなくなったけれど、こうして今も仁奈ちゃんや藤ヶ谷くん、生徒会メンバーからはからかわれる。
普通にわたしにも話しかけてくれる藤ヶ谷くんは、もう前に進んでいるみたいだけど。
「もういいよ、その話はっ!」
だからってそれは恥ずかしいから、本当にやめてほしい。